全盛期の藤川球児投手を超えた田島慎二投手のストレート - 日刊野球ネイション

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全盛期の藤川球児投手を超えた田島慎二投手のストレート

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2016年後半からすっかり守護神に定着した中日ドラゴンズの田島慎二投手。彼は現在鳥取市にあるゴールドウィングというジムで自主トレをしているのだが、そのジムの小山裕史代表が、田島選手のストレートの回転数が全盛期の藤川球児投手を上回るとコメントした。これが事実であれば、昨季開幕から27試合連続無失点という日本新記録を打ち立てたことにも十分頷くことができる。


藤川球児投手の全盛期のボール回転数は45.4rps(rps=1秒間の回転回数)で、回転軸はわずかに5°しか傾いていなかった。それが田島投手の現自主トレ中の回転数は最高48rpsとなり、昨季までの田島投手の自己最高45rpsよりも大幅に向上していることがわかる。45rpsでも十分凄いわけだが、48rpsというのはなかなか目にすることのできない数値だ。

回転軸の角度までは詳しく報道されてはいないようだが、垂直に近い縦回転の軸となっているようだ。現在はほとんどサイドハンドスローの角度で投げている田島投手だが、サイドハンドスローで回転軸を垂直に近づけられるということは、それだけ適切に肩関節の内外旋を使って投げられているということだ。

ちなみに全盛期の松坂大輔投手の回転数は41.6rpsで回転角度は10°だったわけだが、田島投手の回転数は全盛期の松坂投手よりも大幅に上回ると言うことになる。ただし田島投手と藤川投手はリリーバーであるため、先発専任だった松坂投手と比べると強いボールを投げやすい環境にあると言える。そう考えると先発投手なのに41rps以上だった松坂投手のストレートに、どれだけの威力があったのかは想像に易い。

なお回転数と球速の関係だが、例えば160km/hで45rpsのストレートと、150km/hで45rpsのストレートであれば、後者の方が打者からするとホップしているような錯覚を受ける。その理由は空気抵抗に関係しており、150km/hのボールよりも160km/hのボールの方が空気抵抗が大きくなるからだ。

150km/hではだいたいボール1個分の空気抵抗がかかっているのだが、160km/hになると1.1個分の空気抵抗がかかる。空気抵抗が10%大きい分、ボールの伸びを出すためには150km/hの時よりもさらに多いrpsが必要となってくる。つまり回転数が変わらないのであれば、160km/hを投げるよりも150km/hに押さえておいた方が打者は打ちにくいということだ。

山本昌投手が一時期52rpsという数字を計測したらしいが、山本昌投手の140km/h前後のストレートで52rpsということになると、打者からすると本当に手元で加速してくるような感覚だったのではないだろうか。

田島投手は奪三振率の高い投手ではあるが、昨季は初めて奪三振数が投球回数を上回った。つまり1イニングに必ず1個以上は三振を奪うということだ。それもやはりこのrps数値の高いストレートが理由だと言えるだろう。これだけ伸びのあるストレートを持っていれば、130km/h台のそれほど緩急の大きくない変化球を見せるだけでも、そのストレートの威力は増していくはずだ。

大卒でプロ入りして以来1年目からわずか5年間で田島投手は271試合に投げている。あと心配なのはこの登板数による勤続疲労であるわけだが、それも必要以上の心配は要らないように思う。その理由は、年々股関節の使い方が上手くなっているように見えるからだ。

ボールを投げる動作に於いて、股関節を上手に使うことができると肩肘をそれほど使う必要がなくなる。そのため肩肘を故障するリスクが軽減されていくのだ。例えばプロ野球選手で股関節を使いこなしていた投手の名前を挙げると工藤公康投手、山本昌投手、岩瀬仁紀投手、イチロー選手らがトップクラスだ。どの選手も故障が非常に少なく、40歳を超えても一線で活躍し続けている。

恐らく田島投手も彼らと同じ部類に入っていくため、選手生命を左右するような肩肘の怪我を抱えることはないのではないだろうか。もちろん酷い酷使がなければという話ではあるが、投手指導のエキスパートである森繁和新監督であればそのあたりのペース配分も問題ないのではないだろうか。

あと気になるのは田島投手がWBCのメンバーに選ばれていないという点だ。短期決戦ではウィニングショットを持っている投手の存在が重要になってくる。田島投手のストレートは北中米の選手に対してもウィニングショットとして通用すると思う。火消し役として期待以上の活躍をしてくれるように思うのだが、選ばれていないのには何か特別な理由があるのだろうか。もしくは小久保監督の野球に合致していないのだろうか。そのあたりの理由は筆者にはわからない。

とにかく今季のドラゴンズの守護神は安泰だ。だがドラゴンズは昨季2桁勝利を挙げた投手がおらず、数字的に不動の4番打者もいなければ、扇の要と呼べるような絶対的な正捕手の存在もない。特に先発陣の駒不足は深刻で、昨季は大野投手と若松投手の7勝がチーム最多だった。ふたりの数字を足しても16勝のカープ野村投手を下回る。

せっかく守護神が安泰という状況であるのだから、中日球団は先発投手に集中した投資を行うべきだろう。山口俊投手の獲得には失敗してしまったが、しかし新外国人投手には期待ができそうだ。変に元助っ人たちのアドバイスに頼ることなく、このオフはデニー友利投手コーチ自ら渡米してスカウティングを行なったようだ。

友利コーチにはレッドソックス時代のコネクションがあるため、その人脈を今回はフル活用したのだろう。日本球界のことはもちろんのこと、リアルタイムの現場も熟知しているコーチが直接スカウティングしたのだから、今年の新外国人投手には大いに期待できそうだ。

2桁勝てる投手が少なくとも2人以上登場し、平田選手が少なくともタイトル争いができるくらいの活躍を見せられれば、さすがに今季も最下位に沈むということはないだろう。1試合でも多く田島投手にセーブ機会を作っていけるように、森繁和監督の采配には大いに期待したいと筆者は考えている。

2017年01月17日

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