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2015年11月20日

小久保裕紀監督が中継ぎ投手を招集できなかった理由

logo-npb.gifプレミア12決勝トーナメントの準決勝、日本代表は惜しくも韓国に敗れてしまい、決勝に進出することができなくなってしまった。日本は3ー0でリードした状況で9回表を迎えたが、その回に一気に4点を奪われ逆転されてしまう。9回裏は1人走者を出すも、再逆転は叶わなかった。これで日本代表の次戦は決勝ではなく、3位決定戦ということになってしまった。

小久保裕紀監督のコメントの通り、やはり中継ぎのスペシャリストを選出できなかったのが致命傷となってしまった。今回の日本代表には素晴らしい投手陣が集結したわけだが、しかしその中に中継ぎの専門家はいない。先発投手と守護神ばかりの構成となっている。

9回表、日本代表は8回から続投していたイーグルス則本昂大投手が連打を浴び満塁のピンチを背負ってしまう。その後を継いだのは同じくイーグルスの松井裕樹投手だったが、押し出しの四球を与えてしまい、すぐにファイターズ増井浩俊投手にスイッチされる。この3投手、則本投手は言わずもがなイーグルスのエースであり先発投手。松井投手は今季は守護神として活躍をしたが、リリーバーとしての経験値は今年がまさに1年目。

そして増井投手に関しては2013年まではセットアッパーとして活躍し、2012年には最優秀中継ぎ投手にも輝いている。だが2014年以降は守護神となり、イニングの途中から登板する機会は激減していた。確かにセットアッパーとしての経験は豊富だが、現役のセットアッパーではもうない。そういう意味では滅多にない満塁という状況での登板、しかもそれが日本代表のマウンド。この状況でベストパフォーマンスを発揮することは、正直なところ難しかったと思う。

ではなぜ小久保監督は中継ぎのスペシャリストを招集しなかったのか?その答えは簡単に想像できる。セットアッパーは、投手各ポジションの中で最も過酷なポジションだ。投げるか投げないかは直前にならないとわからないため、どんな状況であっても肩を作らなければならない。9回というタイミングに合わせて肩を作ることができる守護神とはそこが違う。

守護神は基本的にはリードした場面でしか登板することはないが、セットアッパーは多少のビハインドであればマウンドに送られることも多い。そのため登板数も多くなりやすい。例えば埼玉西武ライオンズのセットアッパーであり、今季最優秀中継ぎ投手となった増田達至投手は72試合に投げリーグトップ。同じくライオンズの武隈祥太投手は67試合に投げリーグ2位。2人とも2試合に1回は必ず登板しているようなペースだ。

つまりリーグを代表するレベルにあるセットアッパーたちは、シーズンを終えた時点でもう疲れ切ってしまっているのだ。そのため招集したくてもできないというのが現実問題となっている。やはりプレミア12のような大きな国際大会を11月に行うというのは無理があったのだ。WBCの3月開催にも賛否があったが、やはり理想は夏場に2週間程度レギュラーシーズンを休止し、その期間に国際大会を開催することではないだろうか。そうすればコンディションにそれほどの不安を抱えることもなく、ベテラン選手やメジャーリーガーももう少し出場しやすくなるだろう。

小久保監督と、過去の日本代表監督との大きな差は、小久保監督は選手のコンディションを非常に大切にしてくれるという点だ。他の監督は一般的にはそうではない。もちろん悪意を持って酷使しようとする監督はいないわけだが、しかしそうでなかったとしても、監督に投げてくれと頼まれて断れる選手などいない。だが小久保監督は選手が判断する以前に、コンディションが良くない選手を試合で起用することはない。もし過去の一般的な代表監督であれば、シーズン中の疲れを気にしながらも、必要な能力を持った選手であれば招集していただろう。

だが筆者は、小久保監督のやり方を強く支持したい。やはりプロ野球選手はレギュラーシーズンでどれだけ活躍できるかがサラリーに直結するため、レギュラーシーズンにマイナスになるであろうことをさせるべきではない。例えば国際大会で世界一になったとしても、その後のレギュラーシーズンで結果を残せなければ年俸は下がってしまうのだ。

WBCやプレミア12を開催する年は、レギュラーシーズンの試合数を10試合程度減らしてもいいのではないだろうか。もちろんこれも選手会側からすれば年俸を上げられる機会が隔年で減ってしまうため、反発はあると思う。だが国際大会にもっと最高峰の選手たちがこぞって集結するようになるためには、このような工夫も強行すべきではないだろうか。

少なくとも現状を維持したまま今後もWBCやプレミア12を開催していっても、サッカーW杯のような盛り上がりを演出することは難しいだろう。そして国際大会が盛り上がらないようであれば、これから野球強化を図ろうとしている国々も、野球選手に対する強化費の上積みを渋るようになってしまう。そうなればいつまで経っても野球が本当の意味で国際スポーツになる日はやって来ないだろう。

プレミア12やWBCをもっと盛り上げるためにも、国際野球連盟はどこかで血を流す覚悟をしなければならない。「こんな素晴らしい大会を作ったから選手の皆さんは出場してくださいね」というだけでは、選手の支持も、ファンからの支持も集められないだろう。少なくとも筆者に限ってはそうのように考えているのである。





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