甲子園,ラッキーゾーン

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2018年09月16日

ラッキーゾーンが復活するかもしれない甲子園、その意図は?!

  • ラッキーゾーンが復活するかもしれない阪神甲子園球場
  • では何のためにラッキーゾーンの復活が検討されているのか?
  • 阪神球団はまずはチーム勝利に対しもっと徹底すべき?!

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改修工事に伴い、甲子園球場にラッキーゾーンが復活するかもしれないという驚きのプランがあるという。まだ確定事項ではなく検討中という段階ではあるようだが、仮にラッキーゾーンが復活したとすれば、1991年以来ということになる。ラッキーゾーンは過去幾度もドラマを生み出した。例えば1973年8月30日、中日戦に先発したタイガースの江夏豊投手は11回を投げ抜きノーヒットピッチングを続けていた。しかし味方の援護が得られないその裏の攻撃、江夏投手は自らの2号サヨナラホームランをラッキーゾーンに叩き込み、ノーヒットノーランを達成した。


その他では金森栄治選手が打球を追いかけながらラッキーゾーンに転落したり、外野手がフェンスによじ登ってホームランを外野フライにしたというプレーも多々あった。確かにラッキーゾーンはこのようにドラマを生み出すかもしれない。だが筆者個人の意見としてはラッキーゾーンの復活には反対だ。

ラッキーゾーン復活の理由としていくつかの要素が考えられる。まず甲子園球場の主導権が阪神球団にあると考えると、やはりチームの打撃事情が大きいのだろう。タイガースはとにかく自前のスラッガーを育てることができない。ここ20年間でタイガースの4番を打った生え抜き選手は濱中治選手、関本賢太郎選手、鳥谷敬選手程度で、その他はすべてFA獲得選手か外国人選手だ。しかも濱中・関本・鳥谷3選手にしても、まったくホームランバッターではない。

そして今季もタイガース打線は低調極まりなく、金本監督が太鼓判を押した助っ人選手でさえほとんど活躍していない。ずば抜けた投手力があるわけでもないチームの打撃成績がこれだけ低ければ、安定的に勝てないという現実は決して不思議ではない。

プロ野球の経営者側には、昔からホームラン数を増やしたいという願望が蠢いている。単純にホームランが増えれば観客動員数が増えると考えているからだ。そのために統一球導入前はラビットボールと呼ばれる飛びやすいボールが採用されていた。メジャーでも同じ議論が過去にあったのだが、メジャーではそのような小細工によって観客動員数を目指すという手法は採用されなかった。

さて、ホームランが増えれば本当に観客動員数は増えるのか?単純に考えれば答えはノーだ。甲子園球場でタイガースのホームランが増えれば、同時に相手チームのホームラン数も増えることになる。いや、むしろスラッガーを育成できている他球団の方が、甲子園でのホームランを増やすことができるだろう。セ・リーグの中ではタイガースのチーム防御率は本日現在2位ではあるが、しかし4点台というチーム防御率では少し厳しい。これが圧倒的な打力があるチームであれば、チーム防御率が12球団最下位であってもライオンズのように首位を走ることもできる。

甲子園の観客動員数は今季は微減という数字を残しているようだ。観客動員数というテーマにおいてここで、ドラゴンズの話をしておきたい。落合博満監督がチームを率いていた2004〜2011年の間、「落合野球はつまらないから落合監督を解任させろ」という声が内外から聞かれていた。つまり面白い野球をして観客動員数を増やすためには落合監督ではダメだ、という意見だ。それによって落合監督は2011年、リーグ優勝をしたにも関わらず勇退することになってしまう。確かに落合監督就任時の動員数と比較をすると、2010〜2011年の動員数は落ちていた。しかし優勝監督を簡単に解任してしまうのは筆者個人としてはやや解せない。

ちなみに2011年のドラゴンズの打撃成績は芳しくなかった。チーム打率は.228、ホームランは82本で、ホームラン数は今季のタイガースと大差なく、打率に関しては今季タイガースの.255よりはるかに低い。それでもチーム防御率2.46という驚異的な数字により優勝を果たすことができた。そして在任8年間でリーグ優勝4回、日本一1回を達成している。リーグ優勝の確率が50%なのだから、名将と呼ぶに相応しい監督だったと言える。

観客を呼べないと断罪された落合監督在任時の年間平均観客動員数は約230万人だったのだが、落合監督退任後の6年間は約203万人にまで集客力が低下した。確かに落合監督は、星野仙一監督ほどの集客力はないかもしれない。だがドラゴンズを優勝に導いた回数は星野監督よりも圧倒的に多い。そして中日球団は集客力アップを目指して高木守道監督、谷繁元信監督を起用したわけだが、チームは落合監督退任後はほとんど勝てなくなり、優勝争いに絡むことも珍しくなってしまった。その結果、年間の観客動員数は落合監督時代よりも30万人近く減ってしまうことになる。

さて、筆者が何を言いたいのかと言うと、ホームランが増えたところで、結局はチームが勝てなければ観客動員数は増えないということだ。指導者経験が皆無の金本知憲監督を起用したことも、金本監督の現役時代の集客力を見込んでのことだったのだろう。だが指導者としての金本監督の実績はまったく芳しくない。生え抜きのスラッガーを育成することもできなければ、投手陣を整備することもできていない。若手を積極的に育成し、実際にそれに成功している高橋由伸監督とはこの点が大きく異なる。選手を育てられる監督はチームを強くすることができる。来季のジャイアンツには期待は持てるが、来季のタイガースには今現在ではあまり大きな期待を寄せることはできない。

阪神球団はラッキーゾーンによって動員数を増やそうとするのではなく、勝利という最大のファンサービスに対しもっと徹底していくべきだ。そのためには宿敵ジャイアンツのOB、例えば名将原辰徳監督を招聘するくらいの覚悟が必要だろう。もちろんそれが実現することはないとは思うが、しかしそれくらいの覚悟がなければ、ここまで弱体化してしまったタイガースを蘇らせることは難しいはずだ。セ・リーグは6球団しかないのに、タイガースは13年連続でのV逸となっている。果たして今オフ、この敗戦の責を誰が負わされることになるのだろうか。





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