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2016年02月28日

藤川球児投手が二桁勝利を挙げることが決して簡単ではない理由

logo-tigers.gifのサムネール画像阪神タイガースの藤川球児投手は現在、先発としての調整を続けている。一時、金本知憲監督は守護神としての起用もあり得ると話していたが、最終的には開幕ローテーション投手としての起用法に落ち着くようだ。

メジャー移籍前の藤川投手は球界を代表するクローザーであり、2007年にマークした46セーブは日本記録となっている。その頃は火の玉ストレートと称される威力抜群のボールを投げていたが、今そのボールを投げることはもうできない。今季は36歳を迎えるシーズンであり、20代の頃のような馬力はさすがにもうない。

しかしその代わりに経験を積んできている。いわゆる投球術というやつだ。20代の頃は威力抜群のストレートを投げておけば、ほとんど打たれることはなかった。だが現在はトミー・ジョン手術、メジャーのマウンド、香川オリーブガイナーズで先発を経験することにより投球術に磨きをかけ、馬力に頼らなくても打者を抑えられる技術を身につけている。

昨日は韓国サムスンとの練習試合に先発登板をしたわけだが、2イニングスを被安打0の無失点で投げ抜いた。ストレートの最速は144km/hということだったが、キャンプでの体の疲れがまだ残っているはずであり、それを踏まえれば十分過ぎる球速だと言えるだろう。しかもカーブは110km/h以下であり、このボールを使われた後であれば、144km/hのストレートも150km/hに見えてしまうはずだ。

阪神タイガースには能見投手、藤波投手、岩田投手、メッセンジャー投手という先発4本柱が存在している。昨季二桁勝ったのは能見投手と藤波投手だけだが、メッセンジャー投手も岩田投手も二桁勝つ力は十分に持っている。仮に藤川投手を合わせた5人が全員二桁勝利を挙げるようなことになれば、タイガースはほとんど確実にリーグ優勝を手にすることができるだろう。だが5人全員二桁勝利を挙げるというのは、現実的に考えれば難しい。それでもこの5人で合計60勝を挙げることができれば、やはり優勝に近づくことができる。

5人で60勝ということは1人12勝ずつということになるわけだが、藤波投手だけで15勝以上できる可能性も高いため、全員が12勝以上じゃなくても、全員が二桁勝利じゃなくても優勝ラインに対する逆算は十分に成り立つ。だがこの5人の問題点は、若い投手が藤波投手だけという点だ。若い投手が少ないということは、先発陣の怪我のリスクも高まるし、蓄積疲労による息切れも考えられる。

特に藤川投手の場合は先発経験が乏しいだけに、シーズンをフルで投げ続けるのは難しいし、コンディションが低下する前に休ませるという金本監督の英断も必要になってくる。ベテラン投手の場合、とにかく疲労の回復速度が低下するのだ。20代なら2〜3日で回復する疲れも、40歳近くになると回復に一週間以上かかることが普通だ。

そう考えると毎日投げる可能性があるリリーバーよりも、週に一度しか投げない先発に転向したことは藤川投手にとっては吉となるのではないだろうか。先発であれば藤川投手の場合、長くても6〜7イニングス程度しか投げられないと考えられる。そしてこの程度であれば、よほどの球数を投げない限りはオーバーアウト(体力を使い切る)することはない。オーバーアウトしてしまうと回復速度はさらに低下してしまうため、しっかり回復させるためには一度登録を抹消するくらいの期間が必要になってしまう。

ベテラン投手の場合、とにかくオーバーアウトさせることなく、少しでも多くの体力を残した状態で降板させることが活躍のポイントとなる。先発慣れしていない藤川投手の場合は特にそうだと言える。そう考えるとやはり勝ち負けよりは、100球程度で降板させて次の試合に向けてコンディショニングしてもらうという起用法がベストだと考えられる。となると藤川投手が二桁勝利を挙げる可能性は決して高くはないだろうと筆者は見ている。

もちろん20代の藤川投手であれば、先発慣れしていなかったとしても転向後すぐにでも二桁勝利を挙げられただろう。だが36歳という年齢でのコンディショニングは、想像以上に難しいものだ。先発転向直後の藤川投手にとってはまさに未知の領域であり、試行錯誤を繰り返しながらのコンディションになっていくはずだ。

だがせっかくタイガースに戻ってきて、せっかく先発に転向したのだから、野球ファンとしては藤川投手には二桁勝利を挙げてもらいたいと願ってしまう。そして二桁勝利を可能にするためにも首脳陣は藤川投手の勝ち負けにこだわることなく、コンディショニング重視で降板のタイミングを見計らっていくということが、何よりも重要だと筆者は考えているのである。






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