工藤公康,山下斐紹,城島健司,正捕手

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2017年01月20日

ホークス唯一の弱点は生え抜きの正捕手を育てられないこと!?

  • 細川捕手が抜け、正捕手鶴岡慎也捕手も今季は36歳のベテラン
  • 正捕手育成が急務のホークスで、工藤監督がとった行動とは!?
  • 捕手育成に関してはライオンズと好対照なホークス

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福岡ソフトバンクホークスの工藤公康監督は、現役時代から変わらず野球に対し誰よりも真摯だ。ホークスの監督に就任する以前の年末年始は家族でアリゾナで過ごすのが慣例となっていたそうだが、今年の正月はそのアリゾナにも行かず、正捕手を育成するためにメジャーリーグのキャッチャーたちの技術を研究していたようだ。


今季からホークスはヘッドコーチとして達川光男コーチを招聘した。言わずもがな1999〜2000年に広島カープの監督を務めた、昭和の名捕手のひとりだ。ホークスの1軍には清水将海バッテリーコーチと、森浩之作戦担当兼バッテリーコーチ補佐の存在があるが、そこにヘッドコーチとして達川コーチを招聘したということは、工藤監督もチームもそれだけ正捕手の育成に必要性を感じているということなのだろう。

捕手のキャッチング技術に関しても、他の技術同様やはりNPBよりもメジャーリーグの方がレベルは高い。インサイドワークなどの配球に関しては日本人のトッププレイヤーの方が優れているようにも感じられるが、しかしそれはメジャーでは余程の制球力がない限り厳しく内角を突くことはしない。死球による無駄な乱闘を回避するためだ。

また、メジャーリーグの場合は投手の配球サインをベンチが出すことも多い。そのためにメジャーリーグの捕手が求められるのは配球力以上に、キャッチング技術・強肩・強打ということになる。

ショートバウンドのキャッチング技術に関しても、全体的にはメジャーリーガーの方が上ではないだろうか。日本の場合、アマチュア野球では胴体で壁を作ってボールを前へ転がすというやり方ばかりが教えられている。だがこれではボールを受けられる角度が非常に狭くなってしまい、ボールを前に転がせたとしても手の届かないところに転がってしまうことも多い。

一方メジャーリーガーは股関節を上手に使って左右45°くらいずつの広い視野で、ショートバウンドを囲い込むように胴体でクッションさせようとする。このやり方を行なっていたのは、日本では古田敦也捕手ら一部の捕手だけではないだろうか。

さて、年末年始を使って工藤監督はメジャーリーグのキャッチャーたちの技術をかなり研究したと言う。ここでうかうかしていられないのは達川コーチ、清水コーチ、森コーチの3人だろう。工藤監督がこれだけ捕手の研究をしたと耳にすれば、捕手指導を専門職とする彼らは、決して工藤監督よりも捕手に関して知識が少なくてはならなくなる。

恐らく工藤監督が捕手を直々に指導することはないと思う。だが工藤監督のこの行動はバッテリーコーチたちに緊張感を走らせた。これによりバッテリーコーチたちは、何が何でも正捕手を育てなければならなくなった。そしてもし捕手に関しての研究もした工藤監督自身よりも捕手に関しての指導力が低いと判断されれば、1年後にホークスのユニフォームを着ることもできなくなってしまう。そのためコーチたちも今まで以上に必死だ。

工藤監督が危惧しているのは、ホークスから自前の正捕手が誕生していないという事実だ。昨季最も多く出場した捕手は103試合の鶴岡慎也捕手で、次が49試合の細川亨捕手でふたりともFAで他球団から移籍してきた捕手だ。その他の生え抜き捕手たちはほとんど1軍の勝利に貢献することができなかった。

現役時代に伊東勤捕手や城島健司捕手ら、絶対的な正捕手とバッテリーを組み、その上でチームを優勝に導いてきた経験から、工藤監督は正捕手の重要性をよく理解されているのだと思う。だからこそ年齢が行っているFA選手ではなく、この先何年も正捕手を担い続けられる正捕手の育成に主眼を置いたのだろう。1軍にバッテリーコーチが3人もいるのが、その表れではないだろうか。

埼玉西武ライオンズなどは生え抜きの正捕手を育てるのが非常に上手な球団だ。伊東勤捕手以降、細川亨捕手、野田浩輔捕手、炭谷銀仁朗捕手らと続き、次世代には森友哉捕手が控えている。ライオンズは正捕手に関してはほとんど困ったことがない。それと比べるとホークスからはなかなか捕手が育ってこない。

それがコーチの指導力不足によるものなのか、スカウト陣に見る目がなかったからなのかは筆者にはわからない。だが城島健司捕手以降、生え抜きの絶対的な正捕手が育っていない事実は否めない。選手層が非常に厚いホークスに於いて、ほとんど唯一の弱点と言っても良いのではないだろうか。

昨季の二番手捕手だった細川亨捕手はイーグルスに移籍し、鶴岡捕手も今季は36歳となるベテランだ。さすがに捕手として全試合出場できるような年齢ではない。過去の起用法を振り返ると、工藤監督は山下斐紹(あやつぐ)捕手に期待を寄せているようだが、しかし2010年のドラフト1位高卒捕手も今季は7年目となるが、1軍出場はわずか36試合に留まっている。炭谷銀仁朗捕手を高卒1年目で開幕スタメンマスクに起用し育成に成功したライオンズとは好対照だと言える。

ホークスは、経験豊富な鶴岡慎也捕手が現役のうちに生え抜きの正捕手を育成する必要がある。鶴岡捕手の現役生活ももうそれほど長いとは言えないため、鶴岡捕手に何かあった時のことを考えると、工藤監督には少なからず焦りがあるのだろう。

一般的に言われている通り、捕手はとにかく試合で起用していかなければなかなか育っていかない。生え抜きの正捕手を本気で育てる気ならば、多少負けが込んでも若き捕手を起用し続けることも必要だろう。勝利と育成を同時進行させるのは非常に難しいわけだが、しかし工藤公康監督ならばきっとそれを両立させてくれるはずだ。

そのためにも城島捕手を使い続けた王貞治監督のように、鶴岡捕手の出場機会を大幅に減らしてでも生え抜きの中のトップにいる若手捕手を起用し続ける忍耐が、今季の工藤監督は試されることになるのだろう。





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