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2016年04月05日

田中賢介選手のスライディングをプレー状況から考察する

logo-fighters.gifのサムネール画像ここ数日、4月3日の試合でファイターズ田中賢介選手が見せたセカンドへのスライディングが大きな話題となっている。試合ではホークス工藤公康監督も猛抗議を見せたがラフプレーという審判の判断はなく、ジャッジが覆ることもなかった。

残念ながらこのクロスプレーにより、二塁ベース上で倒された川島慶三選手は右脚の靭帯を損傷してしまった。三週間の固定が必要で、全治はまだわからないらしい。川島選手にとっては不幸な事故となってしまった。


筆者はこのスライディングの映像を何十回も見返した。そしてその感想は、故意ではないということだ。まずスライディングしている速度が、ラフプレーとしては遅い。明らかに減速をかけているように見える。メジャーリーグで見られる完全に併殺崩しに行っているスライディングはもっと激しい。それはメジャーリーグで間近でそれを見てきた田中選手ならよく知っていることだ。

結果的な動きだけを見れば、川島選手が動いた方向に田中選手が足を伸ばしているようにも見える。しかしこれは偶発的に起こったことだと筆者は見ている。田中選手からすれば、川島選手の動きと送球が一二塁間の走路に入ってくることを予測し、二塁ベース上で交錯しないように体を横にしたのではないだろうか。

状況はホークス1点リードの6回裏、無死三塁一塁。この場面での田中賢介選手は、ホークスは同点に追いつかれたとしても5−4−3のダブルプレーを狙ってくると判断したのだろう。なぜならこの時打席に立っていたのは4番中田翔選手で、次は好調大谷翔平選手の打順だったからだ。走者を残して大谷選手を迎えるよりは、同点に追いつかれたとしても走者なしの状況で大谷選手を迎えたい、自分ならそう判断すると田中選手は前提を置いていたのだと思う。

ましてや三塁走者は2年前の盗塁王である西川遥輝選手で、打者走者は足の遅い中田翔選手だ。普通の判断をすれば点差を考えてもセカンドからは、セーフティーファーストという判断になると思う。だからこそ田中選手は、川島選手が一塁転送することを前提にし、一二塁間の走路で送球、もしくは川島選手と交錯しないように体を横にしたのだと思う。

だが田中選手の判断とは違い、川島選手は1点を守りに来てしまった。そのためサードから送球を受けると体を本塁方向へと向けていく。そこに運悪く、一二塁間の走路での交錯を避けて来た田中選手の脚が入ってきてしまったのだ。

田中選手のスライディングの緩さ、そして点差、走者などの状況から見ても、田中賢介選手のこの時のスライディングは間違いなく故意ではない。ホークス側は、田中選手のスライディングは「走路を外れた危険なプレー」だと主張しているが、しかしこの走路は、交錯を避けるために外れることは許されている。そのため田中選手が交錯を避けるために走路から外れたのであれば、ホークス側の主張は通らないし、スライディングの緩さを見ても交錯を避けたと判断する方が自然だ。

さて、今度は田中選手側のプレーとして考えてみたい。本来田中選手としては、ラフプレーまで行かないまでも、やはり併殺を阻止するような形で二塁にスライディングしなければならない。だがこのプレーのタイミングを見てみると、かなりギリギリなのだ。つまり二塁がセーフになる可能性もあったということだ。

それだけギリギリのタイミングだったため、走者目線としては併殺崩しをしていられるような状況ではない。二塁がもう少し余裕を持ったアウトであれば、両手を広げるようなスライディングをする選手もいるだろう。だが今回のプレーのタイミングでは、そうした安全な併殺崩しをすることは難しかったと思う。

今年35歳になる田中選手にとって一番怖いのは、やはり自身の怪我だ。その怪我を防ぐという意味でも、やはり併殺崩しに行ったのではなく、交錯を回避しに行ったと考える方が自然だ。さらに言えば、仮に併殺崩しで田中選手が足を出して行ったのなら、田中選手自身、川島選手のスパイクで怪我をするリスクが非常に高い。

今回はたまたま怪我をしたのが川島選手だったが、ほんの少しでもタイミングがずれていれば、田中選手の脚が川島選手のスパイクに踏まれていたかもしれないのだ。開幕直後、1点差の6回という状況で、そこまでのリスクを冒すことなどありえない。これがもし優勝を決めるような一戦であるならば、怪我を恐れず闘志を燃やしていることもあったかもしれない。しかし今はそんな切羽詰った状況ではない。

以上のような観点から、筆者は田中選手のスライディングは故意でもなければ、危険な併殺崩しでもないと断言したい。






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