広島東洋カープ,V3,三連覇,優勝

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2018年09月27日

巨人以外では初となるセ3連覇を達成した常勝広島カープ

  • 育成とドラフト戦略の相乗効果が生み出したカープの3連覇!
  • セ球団の三連覇は巨人以外では今年のカープが初めて!
  • 野村謙二郎監督続投でも優勝できていたと思っている筆者

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2018年9月26日、広島東洋カープはセ・リーグ3連覇となるリーグ優勝を果たした。長いプロ野球史の中で、ジャイアンツ以外のセ・リーグ球団が3連覇を果たしのは今年のカープが初めてとなる。まさにセ・リーグ史に於ける歴史的優勝だったと言えるのではないだろうか。そしてまさに一強状態と言える、セ・リーグ最強の成績での優勝となった。まさに文句のつけようのない素晴らしい優勝だった。


カープ3連覇という偉業の中で、カープというチームのチームビルディングに関して言及されている評論家や記者は非常に多い。しかし筆者はそれらに対しやや疑問を抱いている。と言うのは、カープのチームビルディング手法というのは少なくとも20年程度は大きく変わっていないからだ。カープアカデミーの存在を除けば、それこそ30年以上大きく変わっていないと言うこともできる。だが2016年にV1を達成した前回は、1991年まで遡らなければカープ優勝の文字を見つけることはできない。実に四半世紀もの間優勝から遠ざかっていたのだ。もしチームビルディング手法が今回のV3に直結していたのであれば、もっと早いタイミングで優勝していても良かったはずだ。だがそうではないということは、V3を達成できた要因は他にあるのではないだろうか。

筆者はその要因が監督人選にあったと考えている。2015〜2018年は緒方孝市監督、2010〜2014年は野村謙二郎監督がカープを率いた。筆者はこの2人の監督に関しては、優勝するためにはベストな人選だったと以前より感じていた。だがその前を見ると2006〜2009年はマーティ・ブラウン監督、2001〜2005年は山本浩二監督がチームを率いた。あくまでも筆者個人の意見ではあるのだが、この2人の監督人選に関しては、やや違和感を感じていた。

2人とも一度もAクラスに入ることなく退任しているわけだが、この時代のカープ野球にこの2人の監督はフィットしていなかったように感じられる。山本監督に関しては、1991年に優勝した際は、まだ山本監督が現役だった頃の昭和野球をしていても勝つことができた。だが90年代と2000年代とでは野球の質が大きく異なっていく。90年代まではホームランを30本以上打てればリーグを代表するスラッガーと呼ばれていたが、2000年代に入ると50本以上打つ打者が次々と登場してきた。山本監督はこの二次政権時、現代野球にカープをフィットさせられていなかったように筆者には感じられたのだ。

一方ブラウン監督に関しては、スターティングオーダーをできる限り固定させようとし、実際にそのようにオーダーを組んでいたのだが、固定されたメンバーを活かし切ることができなかった。嶋重宣選手らの波がやや大き過ぎたという影響も大きかったとは思うが、役者がある程度揃い始めていた頃としては、一度もAクラスに入れなかったというのは采配がどこかで噛み合っていなかったからだろう。

さらに言えば、ブラウン監督は選手育成に対し積極的だったようには見えなかった。もちろん他の監督並みには育成しようとはしていたのだと思う。だが野村・緒方両監督の育成の仕方と比較をすると、カープの原動力となっているはずの育成力にやや見劣りが感じられた。それは山本監督に対しても筆者は感じていた。繰り返すが、もちろん育成を無視していたわけではない。だがカープのチーム力の源となっていたはずの育成力が、カープというチームを活かすためにはやや足りなかったように感じたのだ。

ちなみに育成力というのは、どのチームよりも長時間ハードトレーニングを積む、という意味ではない。「この選手には将来性がある」と感じられた選手を、監督がどこまで我慢して起用し続けられるかどうかだ。例えば田中広輔選手、菊池涼介選手、丸佳浩選手のいわゆるタナ・キク・マルのトリオは、まさに調子が悪くても起用し続けられて一本立ちしていった選手たちだ。ちなみにこの3人は同学年であり、今季29歳というシーズンを迎えている。まさに脂が乗り切っているというタイミングだ。

野球選手の最盛期は27〜29歳だと言われている。野村・緒方両監督はこの3人を、まさにこの年齢期に照準を合わせて育成してきたように見える。そしてこのタナ・キク・マルに続いていくのが堂林翔太選手、鈴木誠也選手、西川龍馬選手らなのではないだろうか。この後者3人に関しては、もう少しの切っ掛けがあればもっと進化していくようなポテンシャルを感じさせてくれる。特に堂林選手は長年期待に沿う活躍ができていないわけだが、ポテンシャルの高さを考えれば、そろそろ開花しても良い頃なのではないだろうか。この3選手を含めた若い世代の選手たちを、タナ・キク・マルが主力を張れるうちに育成することができれば、カープのV4、V5というのは決して夢などではなくなるはずだ。

山本・ブラウン両監督に関しては、仮にこの時代に投打共に完成された選手ばかりであれば、もっと優勝争いに食い込めた監督だったと思う。つまり、選手の起用手腕に関して特性を持つ監督だったと言うことができる。だが育てながら勝たなくてはならないというカープのチーム事情に於いては、この2人の采配がハマるケースが非常に少なかった。もちろん金本知憲選手や新井貴浩選手というスラッガーもいたわけだが、その前後を支える選手を上手く育成することができず、しかも2人ともFAによりタイガースに移籍してしまうという憂き目に遭ってしまった。この出来事も非常に大きかったと思う。

筆者の正直な意見としては、仮に野村謙二郎監督が続投をしていても緒方孝市監督のようにV3を達成できていたと思う。野村監督が苦労して育成した選手が開花したからこそのV3であり、決して緒方監督が魔術師のような采配を見せたから優勝できたというわけではない。そういう意味ではこれは緒方監督だけの功績ではなく、野村謙二郎監督と緒方孝市監督の2人で築き上げた功績だと言えるのではないだろうか。この2人の監督の育成手腕と、カープの軸がぶれないドラフト戦略が相乗効果を成し実を結んだV3だと言えるのではないだろうか。

そして何よりもやはり、一度去ったにも関わらず黒田博樹投手と新井貴浩選手がカープに戻ってきたということも、このV3という偉業に対しては非常に大きな出来事だったと思う。若きカープの選手たちにとって黒田・新井選手はまさにレジェンドだ。そのレジェンドたちが再びカープに戻り、若手以上の練習に取り組んでいるのだ。その姿を見れば、若手選手たちも練習が終わったからといってのんびりしているわけにはいかない。さらに上へ、さらに上へとさらなる練習に励んでいたのだと思う。実際カープというチームは、どのチームよりも選手たちが率先して練習に励むチームだ。

もし黒田・新井両選手の存在がなければ、若い選手たちはもしかしたら現状に満足してしまっていたかもしれない。しかしレジェンドたちの存在を間近で見ることにより、現状に満足するという環境にはならず、ハングリー精神を持ち続けることができたのではないだろうか。

さて、カープは3連覇を達成したわけだが、日本一になったのは1984年が最後だ。果たして三度目の正直で今季こそは日本一になれるのか。それとも二度あることは三度あるのか。いや、二度あったことを三度は繰り返したくないという思いは、誰よりもカープの選手たちが抱いているはずだ。そしてユニフォームを脱ぐ新井貴浩選手、そして今年亡くなった鉄人、故衣笠祥雄のためにも、カープナインは死ぬ気で日本シリーズに挑むのだろう。

まだCSという難関が残っているわけだが、さすがにもうカープにはCSで敗退してもらいたくはないし、敗退すべきではない。今季セ・リーグの2位以下のチームの成績では日本シリーズに進むべきではないのだ。つまりカープが目指すべきはCS突破などではなく、日本シリーズ制覇なのだ。そして過去2年間の経験から、今最も日本一に近い存在は12球団のどこよりもカープであると筆者は感じているのである。とは言え、勝負は下駄を履くまでわからないのが野球、ということも付け加えておかなければならない。





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