前田健太,沢村賞

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2015年10月27日

2015年の沢村賞・前田健太投手へのさらなる期待

logo-npb.gif2015年度の沢村賞投手に、広島東洋カープのエース前田健太投手が選出された。しかしその選考内容は辛く、該当者なしと主張する選考委員もいる中での選出となった。該当者なしという意見が出たのには、沢村賞に対する選考基準の厳しさがあるためだ。

  1. 15勝以上(15勝)
  2. 150奪三振以上(175個)
  3. 完投10試合以上(5完投)
  4. 防御率2.50以下(2.09)
  5. 200投球回数以上(206回1/3)
  6. 登板25試合以上(29試合)
  7. 勝率.600以上(.652)
以上の7項目が選考基準となっている。この中で今季の前田投手は( )内の今季成績の通り、完投数だけをクリアすることができなかった。しかし近年は投手陣の分業化が進み、完投すること自体が難しくなっている。現に今季はセ・パ合わせても10完投以上している投手は一人もいない。このような事情もあり、完投数が基準未満ではあったが前田健太投手が選出されることになった。

今年も満場一致による選出とはいかなかったが、前田投手自身二度目の沢村賞ということもあり、これはズバリ快挙と言っていいだろう。そして快挙ついてにもう一点、実は最近10年間で、セ・リーグで沢村賞を受賞しているのは前田投手が唯一の存在なのだ。

(下記に挙げた沢村賞投手の中で、7項目すべてクリアした投手には☆印を付けてある)

2005年 杉内俊哉投手(ホークス)
2006年 斉藤和巳投手(ホークス)
2007年 ダルビッシュ有投手(ファイターズ)☆
2008年 岩隈久志投手(イーグルス)
2009年 涌井秀章投手(ライオンズ)☆
2010年 前田健太投手(カープ)
2011年 田中将大投手(イーグルス)☆
2012年 攝津正投手(ホークス)
2013年 田中将大投手(イーグルス)
2014年 金子千尋投手(バファローズ)
2015年 前田健太投手(カープ)

このように、近年の沢村賞はほとんどパ・リーグ勢の独断場となっている。そんな中で前田投手だけがセ・リーグ勢では唯一受賞している。パ・リーグの投手がこれだけ多く受賞しているのにはスカウティングやドラフト戦略も影響しているわけだが、それと同じくらいDH制の影響も無視することはできない。

セ・リーグにDHはないため、8番打者までしっかり抑えれば、主に9番を打つ投手は楽に抑えることができる。一方パ・リーグは打力が低い投手が打席に立つことは交流戦・日本シリーズ以外ではないため、投手は1番から9番まで気を抜くことができない。実際「恐怖の9番打者」という言葉が存在しているほど、パ・リーグの場合は下位打線だからといって気を抜くことはできない。このような厳しい環境で投げ続けているため、セ・リーグよりも投手が育つ環境となっている。

しかしセ・リーグの投手力が低いとは言わない。何故ならセ・リーグの場合は上述した通り投手が打席に立つ。すると場面によってはタイスコアの状況で投手に代打が送られることも多くなり、そうなってしまうと味方が勝ち越したとしても先発投手に勝ち星が付くことはよほど運が良くない限りはなくなる。このような事情も、セ・リーグから沢村賞投手が誕生しにくくなっている一つの要因と言えるだろう。

さて、沢村賞は分業化された現代野球に合わせて選考基準を見直すべきだという声もある。だが筆者はそうは思わない。球速ばかりに目を向けず、もっと投球術を磨くことに力を注いでいけば、100球前後で完投することだって十分可能だからだ。一般的には1イニング15球以内が望ましいとされているが、仮に1イニング15球で完投をすると135球になってしまう。100球ちょっとで完投するためには、1イニング平均12〜13球に抑えていく必要がある。

ちなみに2015年の前田健太投手の1イニング平均は15.5球となっている。望ましいとされる15球以内を上回ってしまっている。前田投手が来季は満場一致で沢村賞に選出されるためには、球数を減らすための投球術にさらに磨きをかける必要があるだろう。そして少なくとも下位打線の打者は1人3球程度で打たせて取れるようになれれば、完投する機会はもっと増えていくはずだ。

奪三振数に関しては基準より25個多く奪取しているため、多少奪三振の数が減ったとしても150個という基準に大きな影響はないだろう。だからこそ筆者は前田投手に対し、元々持っている素晴らしい投球術にさらに磨きをかけ、カープのエースではなく、日本球界のエースと呼ばれる存在になってもらいたいと期待しているのである。そしてそのためにももう1年広島でプレーをし、カープを優勝に導いてからメジャー移籍を目指してもらいたいと願っている。






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