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2016年12月19日

日本の涙のFA宣言とメジャーのドライなFAの違いを生む理由

  • 未だに涙のFA宣言が絶えない日本プロ野球の異質
  • メジャーリーガーはFAをキャリアアップと考えている
  • 日本とメジャーはなぜFAに対する考え方が違うのか?

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日本のプロ野球はメジャーリーグと比較をすると異質と言うべきか、まったく異なるプロ世界のように感じられる。フリーエージェントに関しては特にそうだ。FA移籍をする際に涙を流す選手が非常に多い。今オフで言えばベイスターズの山口俊投手や、ファイターズの陽岱鋼選手がFA宣言をした際の会見で涙を流した。


FA宣言をした会見で選手が涙を流す姿は、メジャーリーグではまず見ることはない。もしかしたら過去にそういうこともあったのかもしれないが、日本人選手ほどの割合で涙のFA宣言をすることは考えられない。ではなぜメジャーリーガーはFA移籍に対して非常にドライなのに対し、日本人選手の場合は涙のFA宣言が少なくないのだろうか?

2011年オフの杉内俊哉投手のように、球団から言われた辛辣な言葉に悔しさを滲ませ涙を流す選手もいれば、旧所属球団に対しての恩を感じ涙を流す選手もいる。涙の理由は選手それぞれだとは思う。だがそれにしても日本の場合はFA移籍を大袈裟に騒ぎすぎのように感じられる。

日本の場合、球界に限らず帰属意識が非常に強いという国民性がある。それが良いか悪いかという問題ではなく、メジャーリーグとはまったく異なるという話だ。メジャーリーグの中にもフランチャイズプレイヤーと呼ばれ、帰属意識の非常に強い選手はごくたまに存在する。だが一般的には自分自身をより強く必要としてくれ、より多くのサラリーをくれる球団にどんどん転職し、キャリアアップしていくことがメジャーリーガーの常識だ。

実はアメリカ球界の場合、この考え方は少年野球時代から植え込まれているのだ。日本の場合、例えば一度少年野球チームに所属をすると、そこから転校や軟式から硬式への転向以外の理由でチームを移籍することなど考えられないし、許されないという雰囲気さえもある。例えばチームに馴染めずに移籍をしようとすると、旧所属チームの大人気ない大人が他チームに圧力をかけ、その選手が移籍できない雰囲気にしてしまう。これはレアなケースではなく、日本では未だに普通に起こっていることだ。

そのため例え人間関係、実力がそのチームにそぐわなかったとしても、卒業するまではそのチームに所属し続けなければならない。いや、もちろん義務ではないわけだが、同地域の他チームに移籍することなど、ほとんどのケースでは許されないのが日本の学生球界の現状だ。果たしてこれを教育の一環と表現して良いのだろうか。

アメリカの場合は違う。少年野球チームは年に一度必ずトライアウトを行う。そして選手たちは毎年必ずトライアウトを受け、少しでも上のチームへの移籍を目指してトレーニングに励んでいく。逆にレベルが高すぎるチームに入ってレギュラーになれなかった場合は、一つレベルを落としたチームに移籍をしてもう一度自信を付け直し、次のチャレンジに備えることもできる。そして多くの選手は所属しているチームからトライアウトで振り落とされないようにと、一生懸命トレーニングに励んでいる。

日本球界とメジャーリーグのFAに対する考え方はこのように、小学生のうちからそれぞれ刷り込まれていっている。日本のアマチュア球界が未だに上述のようなことを続けている限り、日本プロ野球のFAが活発になることはないだろう。

逆にアメリカの場合は小学生世代から競争の中で野球を行なっているため、プロになってからもキャリアアップのためにどんどん転職(FA制度の利用)を続けていく。また、例え移籍をしなかったとしても一度フリーエージェントになることで、再契約金と年俸の上積みを得ることが当たり前のこととして捉えられている。

日本の場合、まずはアマチュア球界の仕組みから改善していかなければ、プロ野球がメジャーリーグに追いつくことはまずないのではないだろうか。1つの高校野球のチームに選手が100人以上いる状況にもどうしても違和感を覚えてしまう。1つの高校で2つ以上のチームが甲子園予選に出場できるのなら話は別だが。

話は少し脱線してしまったが、小学生世代からのアマチュア球界の仕組みの違いが、日本人選手の涙のFA宣言とメジャーリーガーの純粋にキャリアアップを目指したドライなFAという違いを生み出していると筆者は考えている。どちらが良いのかと考えるならば、筆者はメジャーリーガーのやり方がプロアスリートとして必要な姿だと考えている。やはりプロであれば、可能な限りのキャリアアップを目指していくべきではないだろうか。





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