球団本部長,GM

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2016年08月02日

日本プロ野球の極端に少ないトレード数、それは一体なぜ?!

  • 今シーズン中に成立したトレードは12球団でわずかに3件!
  • 上手なトレードを仕掛けられる有能な球団本部長、GMの不在
  • 日本球界でトレードが極端に減ってしまった筆者が考える理由

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7月31日、プロ野球のトレードと支配下登録可能期間が終了した。しかし今シーズン中に実現したトレードはわずか3件でしかなく、日本プロ野球の球団間移籍はまったく活性化していないというのが現状だ。それが良いか悪いかというのは個々の判断だとは思うが、筆者の場合はトレードを有効活用しないというのは非常にもったいないと考えている。


まず前半戦の段階で優勝の可能性がなくなったチームに関しては、どんどんトレードを仕掛けていくべきだと思う。簡単に考えて、現状のチームでは勝つことができなかったのだから、そのチームは現状を維持すべきではないのだ。主力選手を放出してでも足りなかったピースを埋めていかなければ、来季もまた同じように負け続けることになってしまう。

さて、現在大学・社会人からプロ入りした選手の場合、7年間の1軍登録がなければFA権を取得することができない(高卒選手は8年)。大卒の7年と言えば1年目から活躍したとしても29歳であり、FA権を行使できるシーズンは30歳ということになる。ちなみにメジャーリーグの場合は特殊なケースもあるが、通常は6年となっている。

日本の場合はFA権を得ても行使しない選手が非常に多い。だがアメリカの場合はFA権を行使しないというケースはまず見られない。そのためFA移籍が確実な選手を、移籍する前にトレードに出してしまうケースもある。日本では西武ライオンズの秋山幸二選手がそのような形でトレードに出されたと言われている。

メジャーリーガーの場合は、とにかく自分を一番高く買ってくれるチームへと移籍(もしくは残留)し、FA権利を得るたびにステップアップしていくのが当然のシナリオとなっている。そのような土壌があるためトレードに関しても盛んであり、ポストシーズンを目指しているチームは、トレード可能期間を最大限有効に使ってポストシーズンへの進出を目指していく。

メジャーリーグのトレード可能期間も7月31日までとなっているが、しかしメジャー40人枠に入っていない選手に関しては8月1日以降もトレードすることができる。メジャーの特徴として、7月に下位に沈んでいるチームは主力選手を放出するケースが多い。その代わりに将来有望な若手選手を、主力1人の放出に対し2〜3人得ることがある。

若手選手の場合、優勝戦線にいるチームにいるよりは、下位にいるチームの方が多くのチャンスを与えてもらえる。そのため8月以降の若手選手は弱いチームに移籍し、そこで結果を出していき、自分を高く売り出すというスタイルでプレーしている選手も多い。このような下地があるため、メジャーリーグの場合は若手選手がどんどん伸びていくケースも多い。

だが日本の場合はそうではない。なにせ12球団で今シーズン中に成立したトレードがわずかに3件なのだ。これはすべての球団が自らの選手を囲い込んでいると表現することもできる。他のチームに行けばもしかしたら活躍できる選手を、飼い殺しにしているケースも少なくはない。

日本のプロ野球はメジャーと比較をすれば実に閉鎖的だ。トレードも少なく、FAに関しては宣言したら残留を認めないと理不尽なことを言う球団も存在している。これは選手が正当に得たFA権利を認めない、と言っているようなものだ。

近年、プロ野球からは大掛かりなトレードがほとんど姿を消してしまった。それはひとえに、編成能力の低い球団本部長やGMが増えたということなのだろう。例えば故根本陸夫のようなバイタリティーを持った球団本部長やGMは今は存在しない。一昔、二昔前のプロ野球にはまだ強烈な存在感を持つフロントスタッフの存在が見られた。坂井保之氏もその一人だと言えるだろう。

近年のプロ野球は適材適所よりも、育成に固執しすぎているように見える。もちろん育成は大事だ。だがコーチングスタッフと選手の相性が悪ければ、育つ選手も育たなくなってしまう。そんな時は他球団に出してあげるのもまた親心とは言えないだろうか。

日本のプロ野球という世界は、FA権を行使してチームを去ることには非常に冷たい割に、終身雇用してくれるわけではない。一般企業とは異なり、成績が悪ければ簡単に選手を自由契約(解雇)にすることができる。もしもっとトレードが活性化されれば、自由契約にならずに活躍の機会を得られる選手も多いはずだ。

各球団「選手が育たなかったからクビ」ではなく、「うちでは上手く育てられなかったから早めにトレードに出してあげよう」という考え方にシフトしていければ、選手が得られるチャンスも増えるし、球団もまた別の選手を獲得することでメリットを得ることができる。

日本球界には「育てられなかったと認めれば、その選手の母校からもうドラフト指名することができない」という可笑しな考え方が根付いている。逆に「選手が育たなかった」という風にしてしまえば、極端な話、悪いのは上達できなかった選手、ということになる。

最終的にクビにしたとしても、最後まで球団が面倒を見て「球団は努力したのに、残念ながら選手は上達しなかった」という風にすれば、球団はその選手の母校に対し顔が立つ。このような理由もあり、日本プロ野球の場合はトレードが極端に少ないのではないかと筆者は考えている。

メジャーの場合は球団と選手の関係は比較的イーヴンだ。しかし日本の場合、球団側がかなり上から目線になっていることが多いように感じられる。無用なプライドをたくさん抱えているのだろうか、球団側がミスを認めることはほとんどない。だからこそ成績不振でも決して辞任することのない無責任な球団本部長が多いのかもしれない、と筆者は思ってしまうのだった。





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