札幌ドーム,失明,訴訟

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2016年05月21日

札幌ドームでファールが直撃し失明した女性の二審について

  • 打球が直撃して失明してしまった女性の二審が行われる
  • ファールボールに注意するのは観戦者の義務
  • 野球観戦=ファールが飛んでくる、がアメリカでは前提

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2010年8月、日本ハム球団は小学生を札幌ドームに招待していた。そしてその女性は子どもの保護者として内野席に座っていたのだが、ファールボールが顔に当たり失明してしまった。その裁判が今なお続けられているわけだが、筆者は日本ハム球団に大きな非はないと考えている。

この裁判、一審では日本ハム球団と札幌市に計4,200万円の支払いが命じられていたのだが、日本ハム側が控訴する形で昨日5月20日に行われた二審では、日本ハムのみに3,300万円の支払いが命じられた。

この女性は家族4人で観戦に訪れていた30代の方で、子どもに目をやっている際に打球を当ててしまったと言う。野球場に行かれた方ならおわかりいただけると思うが、ファールボールが飛ぶたびにあちこちでホイッスルが吹かれるし、ファールボールに注意するようにとのアナウンスも頻繁に流されている。

今回の判決では野球に関心のない観客の安全にも留意するように、との内容も含まれていたようだが、果たしてこれはどこまで留意すべきなのだろうか。防球ネットをもっと高くすべきということなのか、判決内容ではその具体性が見えない。防球ネットを高くすれば、確かに余所見をしていても怪我をする人は出にくくなる。だがその分ファールボールを待ってグラヴを構えている子どもたちの楽しみは減ってしまう。

そもそもチケットには小さい文字ではあるが、ファールボールに注意して打球から目を逸らさないで欲しい、との旨が記されている。もちろんチケット裏面のそのような小さな文字をしっかり読まれる方などいないとは思う。だが球団側からすれば、注意するにも限界はある。

例えば防球ネットを高くしたところで、高く舞い上がったフライであればネットの前に座っていたとしても打球が直撃することはある。グラウンドレベルの座席の場合はヘルメットやグラヴが用意されているが、しかしヘルメットを被らない観客も多い。特に女性の場合は髪の毛が気になり、3時間ヘルメットをかぶり続けることは強制しない限りほとんどしないと思う。

考えられる対策としては、入場の際に最初にヘルメット等を貸し出し、それを着用しない場合は打球が当たっても自己責任のみとすることではないだろうか。そしてヘルメットを着用しても怪我をしてしまった場合のみ、球団側が責任を取るというように、責任の所在を明確にしていかなければ、今後もこのような不幸な事故は確実に起こることになるだろう。

なおメジャーリーグでも毎年のようにファールボールで怪我をしての訴訟が行われているが、怪我をした被害者側の主張が通ることはまずない。アメリカでは「野球観戦=ファールボールが飛んでくる」という前提で考えられており、日本同様にチケットにそのような説明も書かれているため、ファールボールの直撃は自己責任のみで片付けられている。

野球にそれほど関心のない方を野球場に呼ぶ企業努力は必要だと思う。しかし野球場に行くのであれば、観戦者はファールボールが飛んでくる前提で観戦しなければいけない。それは野球への関心の強弱ではなく、郷に入っては郷に従うべきということだ。野球場に来ている限り、野球への関心の強弱は関係ないと筆者は考えている。

確かに失明されたことは非常に辛いことだと思う。だが野球場にいる限りは、ファールボールに注意するというのは観戦者側の義務であり、観戦マナーのひとつだと言える。

そして視点を変えるならば、このファールボールを当ててしまった選手は、当ててしまったことを知っているはずだ。その選手の気持ちを考えれば、やはりファールボールに注意するというのは野球観戦をする上では絶対条件であるべきだ。自分の打球で怪我をさせてしまったことを引きずりながら今後もプレーをしなければならないその選手も、本当に辛いと思う。

失明されてしまった女性には大変申し訳ないが、筆者自身はやはり今回のケースは自己責任で話を終わらせるべきだったと考えている。そうしなければ球場でしか味わえない臨場感や迫力がどんどん失われていくことになる。そして子どもたちがファールボールを追い駆ける楽しみをも奪ってしまうのではないだろうか。





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