大谷ルール,ポスティングシステム

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2016年05月03日

大谷ルールの交渉は見送られたがNPBはこれで良いのか?!

  • 今年は大谷ルールの交渉を見送られたポスティングシステム
  • 大谷翔平投手はいつポスティングにかけられるのか?!
  • MLBとの交渉を優位に進めるためにも手を組みたいボラス氏

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NPBは現行のポスティングシステムに関し、今回は改変を望まない方針を示した。つまりいわゆる「大谷ルール」の提示は見送られたわけだ。現行ポスティングシステムは2016年10月31日までの3年契約だったわけだが、改変を望む場合は180日前の5月5日までに申告する必要があった。だが今オフはポスティング利用者が出ない可能性が高いということと、MLB側が選手との労使交渉で多忙ということもあり申告は見送られ、1年間の自動延長という道が選ばれた。


現行のポスティングシステムの注目点は、入札金の上限が2000万ドル(約22億円)に設定されている点だ。これは松坂大輔投手がポスティング移籍した際に入札された金額の1/3となる。筆者個人としては、上限は設けるべきではないと考えている。だが、入札額最上位の球団ではなく、入札額2位の球団に交渉権を与える形がベストだと考える。

入札額最上位球団が交渉できるシステムであれば、仮に上限を撤廃した場合、また入札額が高騰してしまい、有能な選手が資金力のある球団にばかり集まることになる。また、入札金が高騰することにより選手の年俸が抑えられるケースもまた出てくるだろう。だが入札額2位の球団に交渉権を与えるシステムにすれば、資金力に物を言わせることは難しくなり、地方都市球団でも日本の有能な選手を獲得できるチャンスを得られる。

例えばインターネットの世界ではGoogleの検索連動広告、Google AdWordsというサービスがあるわけだが、これは当初は入札額最上位の広告主の広告がGoogle検索結果に表示されていた。だがこれでは様々な不都合が生じ、後に入札額2位の広告主の広告を表示させる仕組みに変更した。すると広告の質が高まり、不必要な入札額の高騰も避けることができ、広告主とユーザーそれぞれにメリットが生じる結果となった。そしてGoogleは世界を代表する企業へと成長していった。

ポスティングシステムで重要なのは、獲得する側と選手を送り出す側、双方の球団がメリットを得られる形にすることだ。例えば今後ポスティングシステムを利用する可能性が高いのは大谷翔平投手であるわけだが、仮に上限を22億円と設定した場合、恐らく海外FA権を取得する頃の大谷投手の年俸は5億円前後になっている可能性がある。だが22億円では4年分の年俸の補償にも足りない。なぜなら22億円を支払われたとしても、その半分が税金となってしまうからだ。つまり実際には10億円程度の利益しか得られないということになる。

大谷投手はチームへの勝利貢献度に加え、グッズの売り上げも球団ナンバー1クラスだ。その売り上げも失うということになるため、10億円程度の利益ではとてもじゃないが、送り出す側としては割に合わない。MLBが上限を設定したい気持ちもわかるが、しかし送り出す側の目線で考えるならば、現行のポスティングシステムはMLB側のメリットの方が遥かに大きい。

22億円の一時的支出と、年俸5億円前後で日本のトッププレイヤーを獲得できるのだから、MLBとしては現行システムの変更は望まないはずだ。交渉力に関してはNPBよりもMLBの方がはるかに優れている。立場としてもNPBの方が明らかに格下だ。それを考えれば交渉を始めたところでNPBに有利な改変になるとは考えにくいが、しかし今後日本人プレイヤーが安心してメジャーを目指せる環境を整えるためにも、NPBは今のうちからこの案件に関する交渉力を培っておくべきだ。

大谷翔平投手が海外FA権を取得するまでにはまだ5年かかる。そして通常の流れでポスティングシステムを利用することになれば、4〜5年後ということになるのだろう。だが大谷投手は日本ハム入団時、通常よりも早いタイミングでポスティング移籍を容認するということを条件にした、という話も存在している。この真意は定かではないわけだが、しかしあれだけメジャーにこだわり、自身の日本球界入りに対し否定的だった大谷投手がファイターズ入りしたことを考えれば、そういう条件があったとしてもまったく不思議ではない。

ということはもしかしたら、2〜3年以内に大谷投手がポスティングにかけられる可能性もあるのだろう。そう考えるとNPBはのんびりしている場合ではない。早い段階で交渉を始めていかなければ、MLB側に交渉を引き延ばされることにより期限が迫り、結局は有利な条件を得られない結果になってしまう。

大谷投手を最高の形でメジャーに送り出すためにも、2017年10月31日に良い条件での改変を目指すため、もう交渉を少しずつ始めていくべきだと思う。MLBは現在選手との労使交渉で多忙とのことだが、MLBが暇であることなどないのだ。そういう意味でもNPBは下手に遠慮をし過ぎだ。アメリカは自己主張の国なのである。自己主張を強くしてこない相手に対しては、どんどん自分たちに有利な条件を突きつけていく。

だからこそNPBはMLB側に気を遣っている場合ではないのだ。どんどん主張していかなければ、またMLB側に押し切られる形になってしまう。そうならないためにも、例えばこの交渉のNPB側のエージェントとして、スコット・ボラス氏などの辣腕エージェントと契約するのはどうだろうか。

ボラス氏がNPB側のエージェントになれば、ボラス氏自身、その後の日本人選手との契約で大きなメリットを得られることになる。ボラス氏はMLBにとっては天敵とも呼べる存在であるため、MLBとの交渉を優位に進めるためにはうってつけの人物だ。日本には松坂大輔投手、鳥谷敬選手、中島宏之選手、アンドリュー・ジョーンズ氏ら、ボラス氏とパイプを持つ人物も少なくはない。そのようなパイプを使いボラス氏と密かに話を進めることも、NPBにとっては必要なことではないかと筆者は考えているのである。






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