コリジョンルール

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2016年03月21日

コリジョンルールの導入で予想されるプロ野球の変化とリスク

logo-npb.gif今季2016年より、日本プロ野球もコリジョンルールが適用されることになった。「collision」とは「衝突」という意味で、クロスプレー(close play)時の不必要な怪我を防ぐために設けられたルールだ。MLBでは2014年、日本のアマチュア野球では2008年から導入されている。

MLBの場合は捕手がホームプレートを隠すようにボールを待ったり、ボールを持っていない捕手が走者の走路でボールを待つことや、走者が走路を外れて野手に体当たりすることを禁止している。なおプレーの成り行き上仕方ないケースに関しては審判の判断により、上記ルールが必ずしも適用されないケースも認められている。

ブロックに関してはMLBは2014年のコリジョンルール新設時に禁止され、日本の高校野球では2013年から禁止になっている。今季からはMLBや高校野球に追随する形でプロ野球もコリジョンルールを採用し、ブロックも禁止するというルールとなった。捕手の必要以上の怪我を防ぐという意味では、このルールは選手としては歓迎すべきものではないだろうか。

確かにブロックが禁止されるということは、野球の醍醐味の一つでもあるクロスプレーが減るということになる。だがブロックだけがクロスプレーではない。捕手のタッチを掻い潜り、体を斜めにしながらヘッドスライディングをするようなプレーも臨場感あふれるクロスプレーの一つだ。

ちなみに日本球界ではクロスプレーの際、捕手はマスクを外すように指導されることが多い。だがMLBでは逆だ。捕手の安全性を確保するため、クロスプレーが予想される時はマスクを外さないようにと選手たちは指導を受けている。また、マスクやヘルメットをしっかり着用していれば、転倒時の脳震盪を防ぐこともできる。それなのになぜ日本球界では一般的にはマスクを外すように指導するのだろうか。筆者は以前より不思議に感じていた。

さて、コリジョンルールが適用されるということは、捕手にとっては追いタッチが増えるということになる。このルールのお陰で不要な衝突は避けることができる。だが逆に追いタッチが増えるということは、左肩の脱臼のリスクが高まるということだ。追いタッチによる脱臼は、通常は右投げの一塁手によく起こる怪我だ。だがこれからは右投げしかいない捕手が脱臼するケースが増えてくるのではないだろうか。

追いタッチが、完全に走者を追い駆ける形の追いタッチなら脱臼するリスクは低い。だがタッチに行った左手が走者よりも先に走路に入ってしまい、走者のスライディングによってその左手を持って行かれてしまうと、脱臼するリスクが非常に高まる。この脱臼を防ぐためには、捕手はグラウンドに背中を向けて追いタッチしに行く必要がある。そうなると他の走者のケアができなくなるため、内野手や投手が今まで以上に捕手の目となってあげる必要があるだろう。

コリジョンルールに則って素早い追いタッチをするためには、捕手は三塁ベンチと向かい合うような体勢で送球を待つ必要がある。そうなるとバックホームしてくる内外野手からすると的が小さくなることになり、制球は今まで以上に難しくなるだろう。下手な送球をしてしまうとコリジョンルールによって得点が認められることになる。そのためバックホームする際は投手並の制球力が必要になり、今後は野手に対し今まで以上の守備力が求められるようになるのではないだろうか。

コリジョンルールの話となって思い出されるのは、やはりロッテの袴田英利捕手だろう。袴田捕手は当時近鉄バファローズでプレーをしていたラルフ・ブライアント選手の強烈なタックルを受け脳震盪で失神してしまい、この時の怪我が原因で現役生活を短縮させてしまっている。このような不幸な事故を防ぐためにも、ラフプレーを未然に防げるコリジョンルールの導入は、筆者は個人的には歓迎しているのである。





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