シャラポワ,ドーピング,禁止薬物

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2016年03月08日

野球界にとり対岸の火事ではないシャラポワ選手ドーピング問題

logo-mlb.gifプロテニスプレイヤーのマリア・シャラポワ選手がドーピング違反により、3月12日より暫定的な出場資格停止処分を受けることになった。これは野球界にとっても決して対岸の火事ではない。特にMLBでは毎年のように薬物により処分される選手を出ている。

シャラポワ選手がドーピングテストに引っかかったのはメルドニウムという成分だった。この成分は主に、狭心症や心筋梗塞など心臓に関する疾患に対し処方される。だが近年この成分に、アスリートのパフォーマンスを向上させる効果があることがわかり、2016年1月より使用禁止薬物のリストに加えられていた。なおシャラポワ選手はこの成分が含まれた処方薬を10年間服用していたようだ。

スポーツ心臓という言葉をご存知だろうか。これは息を吸う量よりも、吐く量の方が僅かに多いアスリート特有の心臓だ。シャラポワ選手がスポーツ心臓だったかは筆者にはわからないが、しかしアスリートである限りその可能性はあり、スポーツ心臓によって心臓に大きな負荷がかかり、それを改善するため医師に薬を処方され、服用し続けていたという可能性もある。

筆者はシャラポワ選手がプロデビューをした頃から応援をしており、大好きなアスリートのひとりだ。その選手がこのような不幸な出来事に遭遇してしまい、ファンとしては本当に悲しい。スポーツ界でアンチドーピングを徹底することは非常に重要なことだ。しかし禁止するだけではなく、もっと情報の周知も徹底すべきだろう。

例えばプロアスリートを診断する医師は登録制にし、アンチドーピングに関する情報の不足を言い訳にできない環境を整えるべきだ。アスリートは医師を信頼して薬を飲んでいる。それは特殊な病気に関する薬だけではなく、風邪、インフルエンザ、花粉症など一般的な症状に対する処方でも同様だ。

アスリートは「わたしがプロ選手であることを知っている医師が処方してくれたのだから、この薬は飲んでも問題はない」と考え服用している。確かに選手自身の情報不足はプロ選手としてミステイクと言えるかもしれない。しかしそれ以上に医師は薬物やアンチドーピングに関するプロフェッショナルであることが求められる。

シャラポワ選手は意図的に禁止薬物を服用したわけではない。ただ、メルドニウムという成分が使用禁止薬物のリストに加えられたことは国際テニス連盟からアナウンスされていたはずだ。しかしシャラポワ選手に果たして、メルドニウムを服用していたという認識はあったのだろうか。

このような薬物問題が起こる度に、アスリートであるならば薬に頼らない健康体を維持すべきだ、という意見も出てくる。しかしアスリートだって人間だ。風邪をひくこともあれば、病気を患うことだってある。そして現役選手であっても投薬治療を受けている選手は大勢いる。例えば読売ジャイアンツで活躍したビル・ガリクソン投手や、阪神タイガースの岩田稔投手は糖尿病を患っており、毎日複数回のインスリン注射を打ちながら投げている。

そういう意味ではシャラポワ選手が何か心臓に関する疾患を抱えながらプレーをしていたとしても何も不思議はない。例えば昨年ニューヨークで行われた全米オープンで引退を表明したプロテニスプレイヤー、マーディ・フッシュ選手も不整脈による心臓疾患を患っていた。

プロ野球で言えば2011年、当時中日ドラゴンズの井端弘和選手がドーピング問題で処分を受けている。ちなみにこの時は目の治療薬に禁止薬物が含まれており、治療目的での使用申請がなされなかったための処分だった。この時の問題に関しても、井端選手は当然チームドクターの処方を信用していたはずだ。しかし情報の共有、管理の徹底がなされておらず、結果的に井端選手は意図せずに不幸な処分(井端選手は始末書を書き、球団は300万円の制裁金)を受けることになってしまった。

野球界も今回のシャラポワ選手の事例を教訓とし、今後はドーピングに関する情報の共有を今まで以上に徹底していくべきだ。そして「知らなかった」という言い訳が通用しないように、NPBを中心とし各球団は、選手やチームドクターに対し執拗に情報を提供していかなければならない。

シャラポワ選手には、これによって現役生活を終えてもらいたくはない。意図せず禁止薬物を服用してしまったということは、今後のリサーチによって証明されるはずだ。そうすれば処分が軽くなったり、解除されることも十分にあり得る。そのための「暫定的」出場資格停止処分であるはずだ。近年は怪我に苦しんでいたシャラポワ選手ではあるが、この悔しさをバネにし、もう一度あの雄叫びをコートに轟かせてもらいたい!






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