
マーリンズのサムソン社長も口にしているように、イチロー選手の野球に対する真摯な姿勢は誰もが手本にできるほどだ。やはり野球に対して一番真摯に向き合っているからこそ、これまでイチロー選手は何度も一番になることができたのだろう。打撃技術だけの話ではない。イチロー選手は他のプロ野球選手の2倍も3倍もストレッチングに時間をかけ怪我の予防に努めている。だからこそ42歳という年齢になっても、動きに硬さがまるで感じられないのだろう。
さて、野球界はこれからオフへと向かっていくわけだが、イチロー選手はオフシーズンであってもほとんど休むことをしない。常に野球にプラスになることばかりを選んで行動している。オフシーズン中の練習は、メジャーリーガーだけあってきっと何人もの練習パートナーを引き連れているのだろうと想像しがちだが、実はそうではない。確かにオリックス時代は恵まれた環境でオフの練習を行っていたようだが、メジャー移籍後はそうではないようだ。
球場内のブルペンなどにネットを置き、独り黙々とネットスローをしたりしているのだ。練習パートナーを引き連れるより、この方がずっと集中して練習に取り組むことができ、ハングリー精神も失わないと言う。アスリートは、ハングリー精神を失った時点で勝負には勝てないと言われている。そのハングリー精神を失わなかったからこそ、イチロー選手は2001年以降野球の最高峰であるメジャーリーグの一線で活躍し続けることができたのだ。
メジャー移籍直後のテレビインタビューだったろうか、イチロー選手はこんなことを口にしていた。「新しく変わり続けることは、これからも何も変わらない」と。つまりイチロー選手は毎年進化しているということだ。例えばメジャーで262本のヒットを打った翌年であっても、イチロー選手はさらなる進化を求め打撃フォームをマイナーチェンジしている。この飽くなき探究心、そして野球に対するハングリー精神を持ち続けているからこそ、イチロー選手は「イチロー」であり続けることができるのだろう。
アメリカでは、ファーストネームだけで呼ばれる有名人は超一流と認められている証拠になる。「イチロー・スズキ」という名前はアメリカ人の多くが知っているイチロー選手のフルネームだが、しかし彼を「スズキ」と呼ぶ者はいない。もちろん登録名が「Ichiro」だからに他ならないが、だがもし彼を最高のプレイヤーとして認めていなければ、アメリカの野球ファンたちが彼を「イチロー」と呼び続けることはなかっただろう。
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