岩隈久志

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2018年09月13日

シアトルを去り日本球界への復帰が濃厚となった岩隈久志投手

  • 2018年限りでシアトルを去ることになった岩隈久志投手。
  • 2019年は日本のマウンドで投げていることが濃厚であるようだ。
  • しかしイーグルス復帰を既定路線にして欲しくはないという筆者に思い。

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岩隈久志投手が今季限りでマリナーズのユニフォームを脱ぐことが決まった。しかしこれはもちろん引退などではなく、選手としてさらなる戦いに挑むための前向きな退団だったと言える。現時点での報道を見ている限りでは、日本球界への復帰が濃厚であるようだ。プロ野球選手としてのキャリアを日本で終えるというのは、メジャーでの経験を日本に持ち帰るという意味でも素晴らしいことだと思う。


岩隈投手は昨年2017年9月27日に右肩のクリーニング手術を受けている。選手生命を左右するような大きな怪我ではなかったようだが、しかし復帰までには5ヵ月を要することになってしまった。そのためマリナーズは契約オプションを行使することなく、岩隈投手は一時的にフリーエージェントとなる。2015年オフに岩隈投手はマリナーズと1年契約を結んでおり、その際2017年と2018年の契約オプションはマリナーズ側が持つという内容で締結されていた。マリナーズは2017年オフ、そのオプションを行使しなかったという形だ。

しかし岩隈投手はそのままマリナーズを去るのではなく、マイナー契約を結ぶことによってシアトルに残ることになった。ポスティングではなく、海外FA権を行使してのマリナーズ入りで、シアトルは日本人選手がプレーしやすい環境が整っているということもあり、岩隈投手としてはリスクを冒してまで他球団に移籍をする必要性は感じなかったのだろう。結果としてこの手術からシアトルのマウンドに復帰することは叶わなかったわけだが、この退団のニュースを読む限り、岩隈投手の判断は正しかったと言えるのではないだろうか。

マリナーズに2019年シーズン、岩隈投手と選手契約を結ぶ意思はなかった。今季37歳という年齢もあり、当初5ヵ月と予測された回復までの期間が想定以上に長くかかってしまったことも、マリナーズが岩隈投手を来季の戦力として数えなかった大きな要因となった。だがマリナーズはそのまま岩隈投手をただリリースするのではなく、コーチとしてチームに残留して欲しいというオファーを出していた。これはマリナーズが岩隈投手に対して提示しうる最大限の誠意だったと言える。決して常勝軍団と呼べるようなチームではないが、しかしマリナーズは選手が心地よく野球に打ち込める素晴らしいチームであるということを、今回のニュースで改めて知ることができた。

昨年4月、マーリンズに所属するイチロー選手が遠征でシアトルにやって来た時のこと、イチロー選手の言葉によれば岩隈投手はイチロー選手に対し「戻って来てくださいよ」と口にしたらしい。この言葉も、イチロー選手がシアトルに戻る際の後押しになったという。一度出てしまった球団には戻りにくくなるケースも少なくない。だがイチロー選手は、岩隈投手の存在があることで安心してシアトルに戻ることができた。

さて、ここで筆者はイーグルス時代に岩隈投手が受けた批判に関して、少しだけ意見を述べておきたい。野村克也監督、張本勲氏は岩隈投手はエースとしての資質に欠けているとコメントしている。その理由は岩隈投手は肩に不安を抱えており、その不安から自ら100球程度での降板を首脳陣に対し求めていたからだ。野村監督や張本氏に言わせれば、エースは常に完投を目指すものだと言う。確かに筆者も、完投能力のあるピッチャーは常に完投を目指してブルペンを楽にさせてあげて欲しいとは思う。だが岩隈投手は肩に不安を抱えていたのだ。下手に続投をさせて肩への負荷を高めて長期離脱に追い込んでしまうよりは、岩隈投手の判断の方がアスリートとしては正解だと思う。

日本球界には無理してプレーをしてボロボロになることを美談としてしまう悪習がある。確かに外野からすればそれは美談として心に残るのだろう。だが実際にプレーをしている選手からすればそれは美談でもなんでもない。無理をしてプレーすることによって、二度と野球ができなくなってしまう可能性さえあるのだから、やはりアスリートは自らの体の状態を敏感に把握し、余力を超えない程度で安定的にプレーし続けることが大切だと思う。もし野村監督や張本氏の言葉通り、岩隈投手が常に完投を目指して投げ続けていたら、37歳という年齢までプロで投げ続けることは不可能だっただろう。もしかしたら岩隈投手は、このような外野からの言葉をシャットアウトしたいという意味でも、分業制が確立されているメジャー入りを目指したのかもしれない。

岩隈投手は来季は日本のマウンドで投げている可能性が非常に高い。その最有力候補はやはりイーグルスだと言えるだろう。だが筆者個人としては埼玉西武ライオンズ入りも可能性としてはなしではない、と思っている。その理由は岩隈投手が東大和市出身だからだ。東大和市と言えば、まさにライオンズのお膝元であり、岩隈投手も子どもの頃は黄金時代のライオンズを見て育っている。まさに地元のど真ん中に戻り野球をするという意味で、岩隈投手が仮にライオンズ入りすれば、イーグルスに戻るよりも大きな話題となるだろう。そして先発投手の駒がまったく足りていないライオンズとしても、投げられるのであれば経験豊富な岩隈投手は喉から手が出るほど欲しい存在であるはずだ。2008年の石井一久投手の時のように。

いずれにしても岩隈投手のピッチングを再び日本で見られるというのは、野球ファンにとっては大きな喜びだ。術後はまだマイナーで3試合ほど投げただけではあるが、球速は140キロ以上にまで戻って来ており、ここに来て肩のコンディションも決して悪くはないようだ。腕を振っている感覚にも手応えを掴んでいるというような趣旨のコメントも残している。術後だけに獲得に対し警戒する球団も多いとは思うが、しかしメディカルチェックで問題ないのであれば、岩隈投手の獲得を目指さないという判断は、編成担当としてはあり得ないと思う。よほど先発投手の駒が整っているのではない限りは。

その中でもかつて所属しておりチームの再建を図りたいイーグルスと、出身地のチームであり、来季は菊池雄星投手のメジャー移籍によりさらに先発の駒が減る見込みとなっているライオンズは、大きな候補となるだろうと筆者は考えている。だが先のことはまだわからない。とは言えイーグルス復帰を既定路線と考えてしまうようでは、それは日本球界を本当に盛り上げることには繋がらないと思う。事実イーグルスに戻ったとしても、争奪戦あった上でのイーグルス復帰になってもらいたい。岩隈投手には選手としてそれだけの価値があると筆者は思っているのである。





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