岩隈久志,シアトルマリナーズ

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2015年11月04日

FAとなりマリナーズからQOの提示を受けた岩隈久志投手

logo-mlb.gifシアトル・マリナーズの岩隈久志投手がメジャー4年目を終え、フリーエージェントとなった。それによりマリナーズは1,580万ドルの1年契約とういクォリファイティング・オファー(QO)を提示した。QOとは、その年の年俸上位125選手の平均年俸と単年契約を提示し、残留を要請する意思を持っているということを選手に伝えるためのシステムだ。

厳密には年俸の高騰を抑えるための新システムとして2012年オフに導入されたのだが、その役目は今の所果たせてはいない。2012年以降多くの選手がQOを提示されてきたが、その条件で再契約を結んだ選手はまだいない。その理由はQO破談後も所属球団と交渉をすることができるためだ。そもそもFA権を取得できるレベルにある選手たちは単年契約は望まない。QOは1年契約の提示が規定となっているため、これもシステムとして上手くいっていないネックとなっている。

MLB.COMオフィシャル動画サイトより

岩隈投手の今季の成績は序盤の不調と右広背筋を痛めDL入りしたこともあり、20試合に登板して9勝5敗という成績だった。勝敗だけ見ればメジャー1年目と同じ数字となる。そして今季の年俸は推定700万ドル(約8億5,000万円)だった。今季の数字だけを見れば評価は下がりそうなものだが、しかし2013〜2014年と、今季後半戦の活躍を見れば、岩隈投手の来季年俸は間違いなく上がるだろう。

2013年は14勝6敗、2014年は15勝9敗という素晴らしい成績を残している。今季もDL入りさえなければ、二桁勝利は確実だった。仮に岩隈投手が他球団への移籍も踏まえてFA交渉を行ったとすれば、岩隈投手に対し多額の獲得資金を用意するのは1〜2球団では済まなくなるだろう。

ただ岩隈投手には完投能力がない。メジャー通算111試合に登板しているが、完投したのはノーヒッターとなった今季8月12日の1試合のみだ。これは肩に故障歴があるため、無理をしてまで投げることはしないという方針を本人が持っているためだ。一部評論家はこの姿勢を批判しているようだが、しかし筆者としては理に適った適切な対処法だと思っている。

そもそもメジャーに完投主義という考え方はない。セットアッパー、クローザーというポジションが確立されていて、投手の分業制が当たり前の世界となっている。完投能力が高かったり、リリーバーを出す必要がないレベルにある投手に関しては年俸を上げるためにもどんどん完投を目指していいと思うが、しかし岩隈投手のように故障歴のある投手に関しては無理はせず、QSをしっかりクリアすることだけに集中していけばそれも立派なパフォーマンスだと言える。

岩隈投手は完投能力こそ低いものの、制球能力に関してはメジャーでもトップクラスの評価を得ている。与四球率は1.74で、9回を完投したとしても四球を2つ出すことはない。そのためWHIPの数値も良く、メジャー通算でも1.08で、これは1イニング平均1人しか走者を背負わないという数字だ。日本時代の通算が1.20とそれほど良くなかったことを考えると、岩隈投手はメジャー移籍後にさらに進化を遂げたということになる。

今オフ岩隈投手はフリーエージェントになったわけだが、上述したQOでマリナーズと再契約を結ぶ可能性は、QOの提示額は今季年俸を上回ってはいるとは言え、限りなく0%に近いだろう。しかし岩隈投手とマリナーズは相思相愛にあるとシアトルタイムズも報じている。記事によればマリナーズは岩隈投手を3〜4番目の先発ローテーション投手と位置付けて来季以降の再契約を目指しているようだ。

岩隈投手自身もマリナーズへの愛着が強いため、基本的には残留路線で交渉が始まっていくのだろう。岩隈投手側は3年契約を望んでいるようだが、マリナーズ側は2年+オプション1年という内容での条件提示を考えているようだ。だが双方に条件面での大きな隔たりはないため、マリナーズ側がよほど低い評価をしない限りは、岩隈投手はマリナーズに残留する可能性が非常に高い。

マリナーズという球団はイチロー選手が長く在籍していたこともあり、日本でも非常に人気のある球団だ。また、マリナーズは日本企業である任天堂が筆頭オーナーを務めていることでも有名だ。そのため日本でもマリナーズのニュースが報道される機会が多く、そのチームに引き続き日本人のスタープレイヤーが在籍するというのは、日本の野球ファンとメジャーリーグをさらに結びつけていく上では大きなプラスになる。

今季怪我から復帰後の岩隈投手の活躍は本当に見事だった。コンディションさえ問題なければ、来季も少なくとも10勝以上の活躍を見せてくれるはずだ。メジャー屈指とも言われるあのスプリッターをあれだけ制球良く投げ込むことができるのだから、そう簡単に岩隈投手が打ち崩されることはないだろう。10勝というのはあくまでも最低限で、1年間ローテーションを守ることができれば15勝する能力は十分に持っている。となると来季の岩隈投手の年俸は軽く1,000万ドルを超えていくのかなと、筆者はいま想像しているのであった。





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