ハーシュハイザー

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2015年10月28日

球速ではなく投球術で勝ち続けたハーシュハイザー投手

logo-mlb.gif近年はメジャーのみならず、日本でもプロアマ問わず球速ばかりに注目が集まっている。確かに速いボールは魅力的だ。投げられないよりは、投げられるに越したことはない。しかし間違った方法で球速アップを実現させてしまうと、必ず肩肘に大きな故障を抱えてしまうことになる。実際日本のプロ野球界だけを見ても、速いボールを投げられる投手の故障率が非常に高い。

テレビの画面や新聞の一面に「160km/h」と出ていれば、これだけで人々の注目を集められる。メディアとすれば売り上げを伸ばしやすい格好のネタと言えるだろう。だがメディアとグラウンドはまったく異なった場所だ。少なくとも野球指導者達は、球速を優先的に上げていこうとする指導は絶対に避けるべきだ。

そもそもピッチャーの仕事は速いボールを投げることではない。ピッチャーの仕事はあくまでも、一つでも多くのアウトを相手から奪うことだ。160km/hのボールで3球三振なら文句はないが、しかし160km/hのボールを投げられたとしても、いや、150km/hのボールを投げられたとしても、それによって効率的にアウトを取れないのであれば意味はない。

日本以上に速いボールを投げることが求められるメジャーリーグにも、140km/h台のストレートだけでメジャー通算204勝を挙げたピッチャーがいる。彼の名はオーレル・ハーシュハイザー。ハーシュハイザー投手は主にドジャースで活躍し、1988年には23勝8敗、15完投8完封でサイ・ヤング賞に輝いている。すでに投手分業制が確立されていたメジャーで8完封というのは際立った数字だ。

MLBオフィシャル動画サイトより

ハーシュハイザー投手は、まさに投球術によりアウトを積み重ねる達人だった。ハーシュハイザー投手はピッチングには2つの鉄則があると話している。1つ目は打者が予測していないボールを投げること。2つ目は打者が予測しているそのボールを、得意コースから少し外して投げること。前者は誰もが取る手法だが、後者ができるのは本当に優れた投球術を持っている投手だけだろう。

ちなみに日本にも投球術で勝ってきた投手はたくさんいる。ストレートは140km/h出るか出ないかだったが251勝挙げた東尾修投手、130km/h出るか出ないかの星野伸之投手は176勝で、小宮山悟投手は117勝、先日引退した山本昌投手も140km/hそこそこのストレートしか投げないが219勝を挙げている。

一方最速156km/hを投げ、日本球界のエースだった松坂大輔投手は35歳現在で日米通算164勝を挙げているが、2009年以降は故障に苦しみ続け、勝ち星を思うように積み上げることができていない。故・伊良部秀輝投手は最速161km/hを誇ったが日米通算で意外と106勝止まり。由規投手も161km/hをマークしているが26歳現在で僅かに26勝。しかも2016年は故障により育成契約となってしまった。

もちろんここで書いている投手達だけがすべてではないが、しかし球速がクローズアップされ過ぎている近年、球速に対し期待されて、それに応えようとしてきた投手ほど故障に泣いたり、勝率が低かったりする。

なお過去に於いて、最も速いボールを投げたピッチャーはスティーブ・ダルコウスキー投手だと言われている。非公式記録ではあるが1950年代に184km/hを投げたとされている。控えめに見ても170km/h弱のボールを投げていたという証言が多数あるが、しかし彼は一度もメジャーに昇格することなく、マイナーでも46勝80敗という成績で野球人生を終えている。

勝てる投手になるためには、やはり必要なのは球速ではなく投球術なのだ。遅いボールを如何に速く見せられるか、如何に直球だと思わせておいて変化球を投げられるか。その達人だったのがまさにハーシュハイザー投手で、実はメジャーリーグ時代、小宮山悟投手もハーシュハイザー投手のアドバイスを受けている。

上述したように、球速は遅いよりは速い方がいい。だがそれによって故障したり、制球できないようであれば意味はない。だがハーシュハイザー投手のように、球速に頼らず投球術によって勝てるようになれれば、まさにハーシュハイザー投手のようにほとんど大きな故障なく投げ続けることができる。そして投げ続けられたからこそ、ハーシュハイザー投手は18年間でメジャー通算204勝という大記録を残すことができたのだ。

日本の高校生こそ、ハーシュハイザー投手のような優れた投球術を持ったピッチャーから多くを学ぶべきだと思う。そうすればプロ入り後に覚醒するピッチャーは、今とは比べられないほど多くなるはずだと筆者は考えている。





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