トップページ > メジャーリーグ
2015年10月23日

昇格後に戸惑わないMLBと、戸惑うNPB

logo-mlb.gifMLBという組織に所属するチームは、1つの球団が複数のマイナー球団を持っている。マイナーリーグで活躍をするとメジャーから声がかかるわけだが、マイナーからメジャーに昇格したとしても、もしくは2A(ダブルエー)から3A(トリプルエー)に昇格したとしても、チームを移った際のチーム方針への戸惑いがないように工夫されている。

一方NPBの場合、2軍から1軍に上がっても、1軍慣れしていないと1軍のチーム方針に戸惑うことがある。その理由は1軍は勝つためのチームで、2軍は育成するためのチームという考え方が根底にあるからだ。しかしMLBはそうではない。

1つの球団が複数のマイナー球団を傘下に持っているのがMLBであるわけだが、MLBの場合はルーキーリーグからメジャーリーグまで、チーム方針が一貫されているのだ。つまりマイナーリーガーたちは、マイナーリーグでやっていたこととまったく同じことを、メジャー昇格後もやればいいだけになる。そのためチーム方針に新たに慣れる必要はなく、昇格後すぐにプレーだけに集中できる環境が確保されているのだ。

NPBで若い選手が1軍に上がってもすぐに2軍に降格してしまい、その時のインタビュー記事を読んだりすると「1軍に慣れる前に降格してしまった」というコメントをよく目にする。これは1軍と2軍が違う野球を行っているためだ。「2軍ではこういう野球をやっていたけど、1軍でそれは通用しなかった」ということがよくあるのが、NPBの現状だ。

日本の場合は2軍をファーム(飼育場)と呼ぶだけあって、今なお育成の場と割り切っている球団が多い。2軍が本格的に勝ちにこだわって戦っているのは、恐らく福岡ソフトバンクホークスだけではないだろうか。ホークスの場合は2軍で成績が上がらないと3軍落ちさせられる危機がある。そのため若い選手たちも目の色を変えてアグレッシヴなプレーを見せるようになる。だからこそ選手層があれだけ厚くなったと言えるだろう。

MLBの場合はチーム方針がマニュアル化されている。そのマニュアルに沿って戦術、戦略、作戦などが決められるため、プレーの質こそ違えど、その球団ですべきプレーは1A(シングルエー)だろうとメジャーだろうとまったく同じになる。変わるのは他球団へ移籍した場合のみだ。

日本のプロ野球をもっと底上げし、さらにMLBのレベルに近づけていくためには、2軍=育成の場という考え方はそろそろ変えた方がいいのではないだろうか。例えば1つの球団で1つの3軍を持つのが経営的に難しい場合は、2〜3球団で1つの3軍を作り、2軍で覇気の見えない選手はどんどんそこへ落としていけば良い。そうすれば2軍の選手たちも今まで以上にハングリー精神を持って野球に打ち込めるはずだ。

そして2軍からの突き上げに遭えば、1軍の選手たちもおちおちしてはいられず、やはり今まで以上にプレーの質を高めようと、今まで以上の努力をするようになるだろう。だが現状のプロ球団で下からの本格的な突き上げがあるのはごく一部の球団のみだ。これでは12球団の中で強弱の格差が出てしまうのも当然だと言えよう。

何年も優勝から遠ざかっている球団ほどMLBを参考にし、ハングリー精神溢れる若手選手たちが1軍を突き上げる環境を作っていく必要があるのではないだろうか。そしてそのためにも1軍と2軍の戦術面に於けるチーム方針を統一させ、2軍から1軍に上がっても戸惑いなくプレーに集中できる環境を作る必要がある。

これは1軍と2軍のコーチ陣の連携も必要になるわけだが、以前その連携体制を必死に作り上げたコーチがいた。2008年に埼玉西武ライオンズで打撃コーチを務めた大久保博元コーチだ。大久保コーチは選手のカルテを作り、1・2軍のコーチたちが昇格・降格してきた選手の状況を一目でわかるようにした。それが2008年のライオンズの強さに繋がっていったのだ。

NPBは、MLBと比べるとまだまだ遅れを取っている。それは技術的にもそうだし、球団運営面でもそうだ。MLBのモノマネばかりする必要はないが、MLBが成功させてきた球団運営のやり方は、もっと積極的に取り入れても良いのではないかと、筆者は野球とベースボールを見比べるとついつい思ってしまうのである。





日刊野球ネイションの記事はすべて筆者ことKazuが個人見解の元、すべてオリジナルで作成いたしております。無断転載はお断りしておりますので、転載・転用をご希望の方は必ずご一報くださいませ。ご協力よろしくお願いいたします。
日刊野球ネイション
Copyright(C) 2015-2016 日刊野球ネイション All Rights Reserved.